【わずか5分で解説:行政書士試験対策・国家賠償法編②】残りの、国家賠償法の権限の不行使、公の営造物の設置瑕疵の判例を覚えましょう。(5分で解説シリーズ)

行政書士試験
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どうもみなさんこんにちは、Flybirdです。

前回の記事で国家賠償法の要件&判例について確認しました。本記事では、少しややこしい権限不行使に関する判例&国家賠償法2条に関する判例のポイントについて解説していきます。

↓前回記事(国家賠償法Part1)はこちら

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0 おさらい:1条1項の要件の確認

おさらいですが、再度1条1項の要件を確認しておきましょう。

第1条第1項
国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。

1条1項の要件に関して、以下の⑤つに分類することが出来ます。

  1. 「国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員」が、
  2. 「その職務を行うについて」、
  3. 「故意又は過失によつて」
  4. 「違法に」
  5. 「他人に損害を加えたとき」

この4.「違法に」という要件に関連して、前回記事では紹介しきれなかった「権限不行使」に関する判例のポイントについて解説します。

1 違法性:権限不行使の判例

リーディングケース:権限不行使が違法となる場合は?

この権限不行使に関してのリーディングケースが「H.1.11.24」判例(宅建業者の監督事例)です。

事案を簡単にまとめると、宅建業法の免許基準を満たしていない(資金に余裕がない)業者に免許を与えたり、免許の更新をした知事の行為は、国家賠償法1条1項の「違法な行為」に該当するのかが問題となった事案です。

判旨の重要部分は↓です。

したがって、当該業者の不正な行為により個々取引関係者が損害を被った場合であっても、具体的事情の下において、知事等に監督処分権限が付与された趣旨・目的に照らし、その不行使が著しく不合理と認められるときでない限り右権限の不行使は、当該取引関係者に対する関係で国家賠償法一条一項の適用上違法の評価を受けるものではないといわなければならない。

と判示して、結論としては知事の行為は「違法ではない」と結論付けました。
要するに、

原則:違法でない
例外:違法赤字の部分の事情が認められた場合

ということです。権限「不行使」の場合は、一般的な「行使」の場合と比べて、違法と認められる可能性は低いということです

上記の判例の赤字の部分は、頑張って覚えましょう。

覚えるべき判例(3つ)

この「権限不行使」に関して覚えるべき判例は以下の3つです。
(リーディングケースの判例の判旨を引用しつつ、事案ごとに個別具体的に諸事情を検討してます。)

事案結論
医薬品の副作用による被害が発生した場合に、被害の発生のために権限を行使しなかった厚生大臣の違法性
(H7.6.23)
当時の医学的、薬学的知見からして違法ではない
石炭鉱山において、粉塵発生防止策を講じなかった通商産業大臣の違法性
(H16.4.27)
鉱山保安法や、当時の事実関係からして、権限不行使は違法
水俣病の発生及び被害拡大の防止のために規制権限を行使しなかった国・県の違法性
(H16.10.15)
水質二法や当時の事実関係からして、権限不行使は違法。(国、県共に)

最低限結論だけは覚えましょう。

なお、国会議員の立法不作為に関する判例(H17.9.14)は、憲法の話のような気がしたので、上の表の中には記載しませんでした。(結論:違法です。)

2 国家賠償法2条に関する判例

なお、国家賠償法2条に関する判例も試験で出題される可能性があるため、以下解説します。

国家賠償法2条の確認

まずは、いつものように、条文を確認しましょう。

第二条 
道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があつたために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。
 前項の場合において、他に損害の原因について責に任ずべき者があるときは、国又は公共団体は、これに対して求償権を有する。

重要なのは、2条1項の前半部分ですね。ここを押さえましょう。 
2条1項で、管理の客体として例示されているのは、「道路」「河川」「その他の公の営造物」ですね。
また、行為類型は「設置又は管理(の)瑕疵」ですね。

「設置又は管理の瑕疵」

「公の営造物の設置又は管理の瑕疵」とは、「公の営造物が通常有する安全性を欠いていること」をいいます。(判例によって明確に定義されています。)

また、この認定に当たり、過失の存在は必要とされません。

また、該当するかを判断するにあたっては、①当該営造物の構造や②(本来の)用法、③場所的環境、④利用状況などを総合的に考慮し、個別具体的に判断すべきとされています。
この4つの判断基準はできれば覚えておいた方が良いです。

覚えるべき判例・キーワード(7個)

以上でまとめたことを基に、以下覚えるべき判例7つを、客体と結論毎にまとめました。

客体(事案)結論(要旨一部抜粋)
道路での落石・崩土の発生
(S45.8.20)
管理に瑕疵あり。
(予算措置に困却していた事情は考慮されない。)
道路での故障者の放置
(S50.7.25)
管理に瑕疵あり。
未改修河川(自然公物)の管理
(S59.1.26)
管理に瑕疵なし。
(過渡的な安全性で足りる。)
改修済河川の管理
(H2.12.13)
管理に瑕疵あり。(※差戻審判決)
(予測かつ回避し得る程度の安全性を備えるべき。)
点字ブロック(その他の公の営造物)の設置
(S61.3.25)
※結論なし。(和解成立のため。)
上記の判断基準を具体的に例示した。
審判台(その他の公の営造物)の設置の瑕疵管理に瑕疵なし。
(本来の用法に従った使用ではない。)
空港(その他の公の営造物)設置使用による損害
(※併用関連瑕疵の事案)
(S56.12.16)
管理に瑕疵あり。
(危害の発生は、営造物の利用者に対してのみならず、利用者以外の第三者に対するそれも含むものと解すべき。)

細かい論点は多々ありますが、「客体」「判旨」(赤字のマーク部分をメイン)に暗記するよう心がけてみてください。

まとめ:紹介した判例は10個。結論&キーワードを覚えましょう。

はい、いかがでしたでしょうか。
数えましたが、本記事で紹介した判例は10個でした。
試験では、国家賠償法に関する判例に関して特段詳しく聞かれることはないと思うので、いずれの判例も、キーワードを押さえることを意識してください。

国家賠償法は得点源にしやすいので、判例をきちんと理解して、本番では満点を取りましょう!

コメント

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